08 更新料滞納者に対する更新料支払請求訴訟について

  

更新料滞納者に対する更新料支払請求訴訟について 

平成20年5月1日
貸主更新料弁護団

  

1. 2件の新規提訴

  貸主更新料弁護団は、貸主を代理して、今回下記2件の更新料支払請求を、京都地方裁判所に提訴した。また今後も更新料不払いに対して、訴訟等で請求をし、支払い確保を図っていく。

(1)甲事件
   京都市北区上賀茂の物件
   原告 : 個人貸主
   被告 : 法科大学院学生(昭和56年生) 及び 連帯保証人たる父
   賃料 : 月額5万3000円(共益費 : 5000円)
   更新料約束 : 2年毎に更新料として、賃料の2ヶ月分を支払う。
   平成18年1月〜平成20年3月31日
   平成20年4月1日の更新時に10万6000円の支払い拒絶。
   現在も居住中。

(2)乙事件
   京都市西京区大枝の物件
   原告 : 不動産会社
   被告 : 契約時大学生(昭和57年生,反訴請求) 
   及び 連帯保証人たる父(別訴請求)
   賃料 : 3万8000円
   契約期間 : 平成15年4月1日〜平成16年3月31日
   更新料約束 : 1年毎に更新料として2ヶ月分支払う。

           平成16年4月  7万6000円支払い
           平成17年4月  7万6000円支払い
           平成18年4月  7万6000円支払い
           平成19年4月  7万6000円支払拒絶
           平成20年3月25日  すでに退去
 この借主は貸主に対し、平成20年2月27日 上記3回分の既払い更新料22万8000円の返還請求訴訟を提起している。

 今回、貸主(被告)は、平成19年4月更新分の7万6000円の支払請求の反訴 請求をし、それに加えて、連帯保証人に対する別訴請求をする。(1)(2)いずれも、契約書では、法定更新の場合も借主の更新料支払義務を明記してある。


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2. 更新料支払義務の履行請求

   (1)   建物賃貸借更新料は、昭和40年代から広く社会的に承認されてきている。
       生活保護でも、平成20年1月30日京都地裁判決をはじめ、平成17年10
        月26日東京地裁判決、平成18年8月28日明石簡易裁判所判決において
       も、更新料条項の有効性を認め、更新料支払義務を認めている。判例上も、
        更新料支払義務は肯定されている。

   (2)   更新料は契約時に重要事項でもって説明され、約定された賃借人の義務
       の一つであり、入居後、更新後になって不払いを主張し、支払わないのは
        契約上の信義に反する行為である。

   (3)   更新料に異議があるなら、契約前に言うべきであるし、更新料が約定され
        ていない物件も数多くあるのであるから、他の物件も選択できたのに、それ
       をせずに、使用後に更新料の拒絶を言い出すのは不当である。借主は更
        新料を支払うことを承知して賃貸借契約を締結しており、不測の損害を被る
        ことはない。借主は、約束した更新料の支払いを踏み倒すことにより、不当
        な利益を得ることになる。

   (4)   他方、貸主は契約を信頼して物件を賃貸しており、更新料が支払われる
        ことを前提に賃貸経営をしている。約束された更新料が入ってこないと、経
        営上支障をきたすことになる。

   (5)   全体から見れば、ごく一部の人が契約締結後、入居して居住し、更新時
        になって消費者契約法を持ち出し、更新料不払いを主張している。現在、
        ほとんどの賃借人の方が、約定どおり更新料を支払っている。更新料を約
        定どおり支払っている人と対比して、不払者がいることは、不公平な状態を
       作り出している。

   (6)   消費者保護だけでなく、契約義務の履行、契約者の自己責任、取引の安
        全、契約自由の原則の保障も、考慮されなければならない。また,賃貸借
        契約は、貸主、借主の両当事者の契約であり、一方当事者の立場だけを考
        慮するだけでは、不公正である。

   (7)   従って、約定された更新料の支払拒否は、契約の効力否定であり、契約上
        の義務違反であり、消費者運動としても行き過ぎである。消費者契約法10
        条を口実とした代金の一部踏み倒しであり、看過できない。

 

3. 貸主更新料弁護団の取り組み

   (1)  貸主更新料弁護団としては、借主からの既払分の更新料返還請求につ
       いて、不当請求として拒否するだけではなく、未払者に対する貸主の更新
       料支払請求にも取り組んでいく。

   (2)  貸主更新料弁護団は、更新料支払拒否を受けている貸主に対して、支援
       をし、今後、貸主からの更新料未払者に対する支払請求訴訟についても、
       順次提訴していく運動を展開していく。

   (3)  貸主更新料弁護団は、引き続き行き過ぎた権利主張及び消費者保護に対
       し、契約者の自己責任及び契約上の義務履行を求め、契約自由の原則を
      確保し、適正公正な賃貸借関係の確立を目指していく。



平成20年(2008年)04月29日 京都新聞:PDF資料



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